思い出の向こう側

好きなものや思い出について書いたりしています

次の街へ

就職まであと1ヶ月半。

この家を出ていくまで、あと1ヶ月弱。

 

新しい場所への不安と期待。不安の方が大きい。

そして今いるこの場所との離れがたさが強くなっている。本当はずっとここにいたいけれど、時計の針は止まってくれない。刻一刻と、その時が近づいているのを感じる。

 

一年前には、これからの一年は京都とのお別れの日々なんだって思っていた。たっぷりあると思っていたその時間はもうあと少ししかない。寂しさと焦りとが身を焦がす。やり残したこともたくさんあるような気がする。この情勢だからもちろんできないことばかりだ。それを言い訳にして無為に時間を過ごす。その無為な時間も尊いと思っているから、無為な日々で構わない。

思い残しはたくさん残る。それでいいのかもしれない。思い残しがある人生の方がなんだか幸せなように思うのだ。

 

結局京都を離れないことになったから、京都とのお別れという意味合いは薄れた。だけどこの街からは離れる。

京都との、というよりも、百万遍を中心としたこの街とのお別れだ。学生時代とのお別れと言ってもいいかもしれない。

 

京阪に乗れば20分ほどで帰ってこられる距離ではある。多分ちょくちょく帰ってくるだろうし、大袈裟かもしれない。

だけど私にとってはお別れなのだ。むしろお別れをしなければいけないと思っているのだ。キッパリと、後ろを振り向かずに前へ進んでいくために。

 

 

 

そんな自分を支えてくれる曲たち。今の自分のテーマ曲と言っていいかもしれない。

・高橋優「靴紐」

「振り返る 手を振る君がまだ見える もう戻っちゃいけない それくらい分かってる」

「遠く遠く見据える先に どんな暗闇が待っていても 僕はただ靴紐を結び 歩いていくことにしたから」

「これから起こる悲しいこと これから起こる嬉しいこと すべて受け止めていくことを怖がるのはもうやめにしたのさ」

「変わり続けてくこの街に君の思い出はおいておく」

「選んだ道は正しいかな 間違ってばかりいるのかな 落としたものも数え切れないな」

「遠く遠く見据える先に どれほどの孤独があっても 僕らただ靴紐を結び 歩いていくことしかできないから」

 

歌詞が刺さる刺さる。

今の自分にとてもぴったりあったこの曲に、今出会えてよかったなぁと思う。最近はひたすらリピートしている。歩いていくことしかできないんだ。

 

岡村孝子「夢をあきらめないで」

「乾いた空に続く坂道 後ろ姿が小さくなる 優しい言葉探せないまま冷えたその手を振り続けた」

「いつかは皆旅立つ それぞれの道を歩いていく」

「あなたの夢をあきらめないで 熱く生きる瞳が好きだわ 負けないように悔やまぬように あなたらしく輝いてね」

 

もうこの曲に出会ってから10年以上経つ。中学生の頃、父親から貰ったiPodの中に岡村孝子のアルバム「After Tone」が入っていた。とりあえず聴いて、とても好きになった。それからずっと好きな一曲。岡村孝子、いいですよ。

 

さっきの「靴紐」が旅立つ男の歌ならば、こっちは見送る側の歌だ。勇気づけられ、背中を押してもらえるような歌。

 

 ・はしだのりひことシューベルツ「風」

「人は誰もただ一人旅に出て 人は誰もふるさとを振り返る ちょっぴりさみしくて振り返っても そこにはただ風が吹いているだけ」

「人は誰も人生につまづいて 人は誰も夢破れ 振り返る」

「何かをもとめて振り返っても そこにはただ風が吹いているだけ」

「振り返らずただ一人一歩ずつ 振り返らず泣かないで歩くんだ」

 

振り返りたくなる寂しさと、振り返っても何もなくて前を向いて歩いていくしかない現実と。それを風で表している。あまりにも名曲。

 

子供の頃から父親の影響でよく聴いていたこの曲。作詞は北山修氏なのだけれど、氏は精神科医でもあり、日本の精神分析の第一人者でもある。

精神分析に触れるうちに氏に出会い、この曲の作詞をしていることを知りとても驚いた覚えがある。

 

振り返ったら、風。これは本当にそう思う。

 

浜田省吾「家路」


 

生きていくこと、頑張ることを後押ししてくれる歌だ。寂しさとか悲しさとか色々あるけれど、それでも。

「悲しみ果てしなく 風は夜毎冷たく 人は去り人は来る でも気づけば 道標もない道に一人」

「どんなに遠くても たどり着いてみせる 石のような孤独を道連れに 空とこの道で会う場所へ」

ずっと好きな曲。そしてずっと支えられている曲。この曲に関しては、今の自分というよりもここ数年の自分のテーマ曲のような趣がある。

人間は結局のところ一人で孤独なのだ。それでも歩いていく。

 

 

多分これからの新生活では学生時代を振り返ることも多くなるだろう。戻りたくなるような時間がそこにはあった。振り向いてもいい。だけど、そこにはもう戻れない。ただ風が吹いているだけ。ちゃんと前を向いて、この曲たちとともに歩いていこうと思う。