思い出の向こう側

好きなものや思い出について書いたりしています

中島みゆきのオススメ曲

ただただ好きなものについて書くやつです。

今回は中島みゆきについて。この曲は聴いてほしい、と思う曲を書いていきます。

その中でもあまりにも有名な曲たち(ファイト!・空と君のあいだに・糸・誕生・宙船・銀の龍の背に乗って)は今回省きました。みんな知ってるだろうし。知らないならとりあえず聴いて。

 

で、ファンじゃなければあまり知らないだろうなというラインで特に好きな曲を集めたところ、20曲以上出てきました。泣く泣く絞った上で、です。

でもまだ多いので、そこからさらに泣く泣く絞りました。それが以下の15曲。まあ全部そこそこ有名な曲だけど。

 

1.優しい歌たち

優しく寄り添ってくれる歌たち。落ち込んだ時とかに聴くとやられる。

泣きたい夜に

「泣きたい夜に一人でいるとなおさらに泣けてくる 泣きたい夜に一人はいけない 誰かのそばにおいで 一人で泣くとなんだか自分だけいけなく見えすぎる 冗談じゃないわ世の中誰も皆同じくらい悪い」

「涙だけは大きなタオルでもあれば乾くだろう けれど心の傷口は自分では縫えない」

「子供の頃に好きだった歌の名前を言ってごらん 腕の中できかせてあげよう 心が眠るまで」

ああなんて優しいんだ。歌声も優しい。まるで子守唄。本当に胸の中で抱きしめられているような気持ちになる。しんどい時に聴くと結構な率で泣く。

 

風の笛

「言いたいことを言えば傷つく 大切な総てが傷つく だから黙る だから耐える それを誰もが知らない ならば 言葉に出せない思いのために お前に渡そう風の笛 言葉に出せない思いの代わりに ささやかに吹け 風の笛」

優しい言葉たち。誰にも話せない思いにも寄り添ってくれるこの歌がとても好き。

 

ナイトキャップスペシャ

「眠れない理由を素直に思い出したくない夜中には」から始まって、サビ前で

「こんな夜中に必要なのは普通にそばにいてくれること たしかにそれもありかもねってそばで思ってくれること」

優しいね。女性の失恋を歌っていて、歌詞の物語には正直そんなに共感できるわけではないけれど、でも好きな曲。イントロからいい。コンサートでこの曲が聴けたのはとても嬉しかった。中島みゆきで好きな曲を挙げていく時、毎回のように思い浮かぶくらいにはこの曲が好き。この曲を好きって言ってくれる人とはなんだか分かり合えるような気がしている。

 

タクシードライバー

名曲。聴いてほしいというほかない。

「タクシー・ドライバー 苦労人とみえて あたしの泣き顔見て見ぬふり

天気予報が今夜もはずれた話と 野球の話ばかり 何度も何度も繰り返す」

見て見ぬふりをしてくれる優しさと、その表し方の不器用さとが良い。不器用な分、沁みるというか。このフレーズを曲の最後に繰り返すのもまたいい。

 

優しさってなんだろうって考えることは多いんだけれど、この曲と次に書く「蕎麦屋」は私の中の優しさ観に大きく影響を与えたと思う。

あと「笑っているけど みんな本当に幸せで 笑いながら町の中歩いてゆくんだろうかね 忘れてしまいたい望みをかくすために バカ騒ぎするのはあたしだけなんだろうかね」という歌詞が刺さったりもする。

 

蕎麦屋

「世界じゅうがだれもかも偉い奴に思えてきて まるで自分ひとりだけがいらないような気持ちがする時」

に聴く曲。聴いて。

この曲の中の「おまえ」の優しさが沁みてくる。そして何より、

「風はのれんをばたばたなかせて ラジオは知ったかぶりの大相撲中継

 これなんだよ。この情景描写がとても好き。中島みゆきの中で一番好きな歌詞かもしれない。とにかく聴いて欲しい一曲。

 

泣いてもいいんだよ

ももクロに提供した曲。

「全然泣けなくて 苦しいのは誰ですか 全然今なら 泣いてもいいんだよ」

つらいのに泣けなくて、どうしようもなかった時、これだけで泣いたことがある。

ももクロverも中島みゆきverもどちらも好き。どちらかといえばももクロverの方が好きなのでここで書くのは違う気もするけれど、中島みゆきの曲ではあるので書く。

 

2.応援歌

ファイト!とかと同じく、背中を押してくれる。

背広の下のロックンロール

「ネクタイで首をしめて荒くれをつなぎとめても 革靴に足を詰めてさすらいをつなぎとめても 背広の下のロックンロール 誰に見せるためじゃない己れの為だ」

研修中はスーツを着ていたのでよく聴いた。元から好きだったけどさらに好きになった。頑張れる気がしてくる。まあ仕事は私服でいいので、ドンピシャ刺さる機会はあまりないけど。

 

永遠の嘘をついてくれ

吉田拓郎に提供した曲。スランプ状態だった吉田拓郎に宛てた歌だとも言われているらしい。吉田拓郎verもいいけれど、中島みゆきverもいい。つま恋ライブであった、吉田拓郎中島みゆきverもまたいい。是非聴いてみてほしい。

「永遠の嘘をついてくれ 今はまだ二人とも旅の途中だと」

「君よ永遠の嘘をついてくれ いつまでも種明かしをしないでくれ」

いつまでもヒーローでいて欲しいんだよ。それが嘘でも構わないし、なんなら嘘だって知っていたりもするけれど、それでもいつまでも嘘を突き通しておいてほしいんだ。

 

あと「人はみな 望む答だけを聞けるまで尋ね続けてしまうものだから」と言う歌詞も好き。

最近知ったこの曲だけれど、本当に好き。いいよ。

 

瞬きもせず

中島みゆきを聴く人なら割と知っている人が多いかもしれない。「Singles 2000」に入っているし。応援歌というよりどちらかというと愛の歌だけれど、すごく力をもらっていた曲。

 「君を映す鏡の中 君を褒める歌はなくても 僕は褒める 君の知らぬ君について幾つでも」

愛だよ。中島みゆきを聴き始めた時、多分最初に聴いていたのは「Singles 2000」だったのだけれど、その中でも相当好きだった。そしてそれは今でも。イントロからいいしメロディーもいい。最高。

 

3.ノスタルジー

ホームにて

故郷に帰りたい気持ちと帰れない気持ちとで揺れ動き、結局帰れない。あまりにも美しい言葉たち。

「涙の数 ため息の数 溜まってゆく空色のキップ  ネオンライトでは燃やせないふるさと行きの乗車券」

ネオンライト(=都会の光)ではふるさと行きの乗車券を燃やしてその気持ちを消し去ることはできなくて、でも振り向けばドアは閉まってしまって、空色の切符は溜まっていくし、心は今夜もホームに佇んで彷徨っている。

何かを語るのは蛇足かもしれない。名曲中の名曲。聴いて。

 

もう桟橋に灯りは点らない

物語が綺麗。二人の思い出だった桟橋。

「もうあの桟橋に灯りは点らない ただ潮風だけが置き去りのまま だれも覚えていないあの桟橋は きれいなビルになるらしい」

なんだろうね、この歌詞がとても好き。

いつもここで隠れて逢っていた二人の思い出の桟橋。

この桟橋のことを覚えているのは二人だけ。いや、自分だけかもしれない。

そしてそのうち消えてビルになったら、二人とも忘れてしまうのだろうか。覚えているのだろうか。そんなことを思う。

思い出に戻れないことなど分かっているし、とうにそんなことは受け入れていて次の道へ進んだりもしているのだろうけれど、その場所が消えるとなると感傷に浸りたくなる。そんな空気が好き。

 

4.なんかわからないけど好きな曲 

狼になりたい

この曲を好きだと言う人は多い。そしてそれは私も同じ。

何がいいのかはよくわからない。だけどいい。

別に狼になりたいわけでもないのだけど、もしかしたら心のどこかには狼になりたい自分がいて、それが共鳴するのかもしれない。

やまねこ

軽快な曲調。かっこよくて好き。

歌われている物語は切ない感じだけど、それは正直なんでもよくて、曲がかっこいいから好き。

「傷つけるための爪だけが抜けない棘のように光る 天(そら)から貰った贈り物が この爪だけなんて この爪だけなんて」

というサビが歌詞では好き。

「この爪だけなんて」を繰り返して終わるのがいい。悲しさ、恨み、虚しさなど色々な物が含まれているこの余白がたまらない。

あした

「もしも明日 私たちが何もかも失くして ただの心しか持たないやせた猫になっても もしも明日 あなたのため何の得もなくても 言えるならその時 愛を聞かせて」

そこまでの愛を持てていますか、と問いかけられる。心にチクリと刺さる。そんな曲。

旅人のうた

知っている人が多いだろう名曲。イントロもメロディーも歌詞も全てが好き。

歌詞は全体的に好きなので、どこか一節を抜き出して語ることができない。

私にはふるさとを探し続けているような感覚があって、それがこの曲に共鳴する。

自分のことを旅人だ、と言ってしまうのはなんだか恥ずかしい言動のような気もするのだけれど、でも感覚的には旅人だと思っている。なのでテーマソングの趣もある。

やっぱり恥ずかしいな。でも好きなんだからしょうがない。

 


 

今回はここで終わり。だけど他にも好きな曲はいっぱいあるし、まだ聴いたことない曲もたくさんある。いっぺんにじゃなくて少しずつ出会っていくのも楽しみ方の一つだと思うから、のんびりと出会っていこうと思っている。また好きな曲が増えたら書くかもしれないね。

 

 そしてやっぱり、好きなものを語る上での語彙が不足しているなぁと感じた。

好きであることの言語化、難しいね。

どこが好きかってことを言語化しすぎると「好き」が失われてしまう側面もあるし、「好き」であることの理由なんてあまり考えなくていいとは思っているんだけど、言語化しないと伝わらないって話もある。今回は歌だから「聴いて!」「聴けばわかる」で済んじゃう部分もあるんだけど、それは甘えでもあるし。とはいえ、分かってもらうためには聴いてもらうしかないんだけど。

 

言語化にこだわりすぎないのは大事。言葉にできない部分はある。言葉にしない方がいい部分もある。その上で、伝えたいことを言語化できる力はちゃんと持っておきたい。まだまだ足りないね。

 

少しずつブラッシュアップできたらいいなと思うので、この記事も適宜改訂していって自分の好きをちゃんと伝えられるようにしていこうと思う。

 

 追記:

有名な曲たちは書かないと言ったけれど、書かないままにするのもなんかむず痒いのでここにこっそり軽く書いておきます。だって好きなんだもん。

 

・ファイト!

好き。一番好きな曲かもしれない。ずっと好き。一人で抱え込んで頑張ろうとする癖があるから余計に刺さるのかもしれない。

好きな歌詞はそれこそ全部なんだけど、あえてあげるなら

「闘う君の唄を 闘わない奴等が笑うだろう」

「冷たい水の中を ふるえながらのぼってゆけ」

「ただ怖くて逃げました 私の敵は私です」

「いっそ水の流れに身を任せ 流れ落ちてしまえば楽なのにね」

「勝つか負けるかそれはわからない それでもとにかく闘いの出場通知を抱きしめて あいつは海になりました」

「うっかり燃やしたことにして やっぱり燃やせんかったこの切符 あんたに送るけん持っとってよ 滲んだ文字 東京ゆき」

「諦めという名の鎖を身をよじってほどいてゆく」

あたり。

いや全部が好きだな。

この曲はたくさんの人にカバーされているけれど、その中だと満島ひかりがいいですね。まあ本人が一番なんだけど。

 

・糸

まあもう語ることはあまりないっちゃない。「縦の糸はあなた 横の糸は私」ですもんね。「織りなす布はいつか誰かの傷をかばうかもしれない」ですもんね。あまりにも流れすぎていて最近はあまり聴いていない。でもいいものはいい。

 

・誕生

聴いて泣くことがある。

「ひとりでも私は生きられるけど」から始まるのがいい。「けど」なんですよ。

「生まれた時だれでも言われた筈 耳を澄まして思い出して 最初に聞いたWelcome」

泣きたい夜にとか蕎麦屋とかでもそうなんだけど、中島みゆきさん、本当に歌で抱き抱えてくれるんだなぁという感じの曲。母性。ウィニコットの言うところのholding。

「けれどもしも 思い出せないなら わたしいつでもあなたに言う 生まれてくれてWelcome」ですもんね。

あとは一番で「めぐり来る季節を数えながら めぐり逢う命を数えながら 畏れながら憎みながら いつか愛を知ってゆく」と歌って、

二番で「わかれゆく季節を数えながら わかれゆく命を数えながら 祈りながら嘆きながら とうに愛を知っている」と続いていくのがいい。いいですね……。

 

・宙船

TOKIOに提供した曲。単純にかっこいい。

「その船を漕いでゆけお前の手で漕いでゆけ お前が消えて喜ぶ者にお前のオールを任せるな」ってまあ当たり前なんだけどね。

 

銀の龍の背に乗って

今書いていて思い出したけど、この曲も震災の時に結構聴いていた気がする。

「まだ飛べない雛たちみたいに 僕はこの非力を嘆いている」あたりに自分を重ね合わせていたのかもしれない。

サビ前の「さあ行こうぜ」がとても好きです。

 

 

軽く、といった割には書いちゃったな。まあ好きなんだからしょうがないですね。

 

最近は悪女にハマっています。

キャッチーだしヒットしたのわかるなぁという感じ。言葉が音として美しく流れていく。いい。

聴く前は悪女というタイトルだけで「なんか怖いなぁ」と思っていた。聴いてみたら悪女じゃないのに悪女を演じている歌だった。わざわざなんで演じてしまうんだろうね。当て付けなのか、屈折した感情なのか、素直になれないからなのか、悪者にしたくないのか、自分を悪者にしたいと思っているのか……。あのキャッチーさの中に深みが隠れていて癖になる。ずっと聴いている。なんなら仕事中も頭の中で鳴っている。好きです。