思い出の向こう側

好きなものや思い出について書いたりしています

左様なら今晩は

前回の続きです。

 

しまなみ海道を走り終えたあと、尾道駅前の商店街を1キロほど東に行ったところにあるお好み焼き屋「手毬」にて昼ごはん。15時には閉まってしまうので、ここに間に合わせたくて急いでいたのでした。

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細い路地にあるこの店を全然見つけられなくて5分くらい探し回った。
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砂ずり、海老、イカが入った名物「手毬焼」はめちゃくちゃ美味かった。平日の昼下がりにも関わらず、常連さんで賑わっていた。こういう地方の店で常連さんたちの会話を聞いているのって楽しいですよね。

 

お腹を膨らませた後は海岸の方を少し自転車で走った後、シネマ尾道へ。

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映画の街尾道にある、情緒のある映画館。この街はこういう文化がすごく好き。

そこで見たのは、
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尾道がロケ地の「左様なら今晩は」。これをここで見たくて、尾道までやってきた。この旅の目的はこれでした。

実はこの映画を見るのは今回2回目で、1回目の時は大阪で舞台挨拶付きの回だった。

それがすごく良かったので是非ともこの地で見たいと思った。シネマ尾道も作中に出てくるし。あとさっきの手毬焼も作中に出ていたので、聖地巡礼だったのでした。

 

以下映画の感想です。

 


あらすじとかそういうのは公式サイトからどうぞ。

 

・久保史緒里さん演じる幽霊の愛助が可愛い。ピュアさの表現がいいですね。あと備後弁が可愛い。儚げな空気感が幽霊っぽくもあり、人間のようでいて向こう側の存在なんだっていうのにぴったりだった。

萩原利久さん演じる陽平が人間として少しずつ変わっていくというか、最初は薄っぺらいというかあまりいい奴じゃないなぁって感じだったのが、他人に興味を持ち始めて好きになっていってっていう変化が繊細に描かれているのがとても良かった。あそこまで人に熱くなれる人間だったんだ……ってなるところがいいですね。初めて人間を大事に思えた感じとか。まあ相手は幽霊なんですけど。

・誰かの生きてきた物語を知りたい、というのは今の私が思っていることでもあって、だから愛助の物語を知りたいっていう感情を持ち始めた陽平にすっと感情移入できていた。いいタイミングで出会えた映画かもしれない。

・映画全体で言えば物語としての起伏はそこまでなくて、言ってしまえばストーリーは割とわかりやすい。だからこそ繊細な表情や態度の変化が際立つというか、そこがなくては映画として成立しない気がする。主演二人をはじめとする演者とそれを作り上げた監督の腕だなぁという感じ。

・その穏やかさとかは尾道の街がぴったりだと思った。そういうところが好きで、私はこの街に住みたいと思っていたし(結局京都に住んでいるけれど)。

・突然現れて大事になった頃に消えていくのは、ヒカルの碁に出てくる佐為みたいだなぁなんて思って見ていた。ヒカルの碁では本因坊秀策の生地として因島が登場していたし、どこか近いものがあるのかもしれない。

・ラストシーンというか、陽平が尾道を去る時に最後にシネマ尾道へ来るのがいいですね。あの陽平の横顔が妙に印象に残っている。

 


見終わった後、帰るまでは少し時間があったので薄暗くなった尾道の街を歩き、余韻に浸っていた。作中でも出てきた、久保さん絶賛の尾道プリンは残念ながら定休日で買うことができず、仕方がないので駅のお土産屋さんでレモンプリンを買った。福山から乗った新幹線の中で食べたそれは美味しかったものの、私が食べたいのはあの尾道プリンなんだよなという気持ちでいっぱいになった。

とても悔しくて、ふるさと納税の返礼品に選んじゃいました。年明けには届くそうなので今から楽しみです。