思い出の向こう側

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季節の変わり目

夏が今日終わる。10月にもなってまだ、残暑というには支配的すぎる陽射しがずっと燻っていたけれど、明日からはいきなり寒くなって秋がやってくる。

季節が急に動き出す。

こういう時、私は焦りを覚える癖があるようだ。

 

そもそも季節の変わり目に私は弱い。体温調節がうまくいかないからなのか、服装を変えるタイミングを見失うからなのか、体調を崩しやすい。

環境の変化に適応するのに人より時間がかかるタイプだ。ずっと続いてきた夏への適応をやめて、秋、そして来る冬へと対応していかなければならないけれど、その移行が簡単ではない。27年も生きているのに、いまだにその術を知らないことに我ながら呆れてしまう。毎度毎度、呆れながら体調を崩し、改善を試みることもなく、そしてそのうちいつの間にか適応している。喉元過ぎればなんとやら、長い冬や夏の間にはそのことを忘れ、春と秋の訪れに自分を呪うことになる。

 

そして、体調を崩すと同時に、焦りを覚える。

急に動き出した季節は、いつまでも続くと思わされるような夏に止まっていた時計の針を、一気に早回しで進めてくるように思える。止まっていた分を回収するかのように。秒針の音が絶え間なく聞こえてくる。まだ夏の澱みの中にいる私は、そこから抜け出す術を知らず、慌ただしく動き出した周りに置いてけぼりを喰らう。

待って。置いていかないで。幼い子供のように泣きたくなる。

いつもそうだ。そして落ち込む。

 

思い返せば夏休みがあった学生の頃からずっとそうだった。いつまでも続く夏休みは、しかし終わりがやってきて、その度に結局何もできず時間を浪費した自分に落ち込んでいた気がする。小学生の頃の、あの8月の25日、31日ごろの感覚が原点かもしれない。

大きな夏休みなどない社会人になっても、私はまだ焦っている。毎週毎週ほぼ変わることなく仕事を続け、時計を止めたつもりなどなかったのに、季節は知らない間にその針を止めていて、そして今動かし出した。

 

秋は嫌いではない。むしろ好きだ。だけど、この変化の急さだけはいつまで経っても苦手なままでいる。