思い出の向こう側

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思ったよりも寂しくない

今夜、私は京都を離れる。

というかもう離れた。今は神戸港でフェリーをただ待っている。

 

五島から帰ってきてからは随分とあっという間に時が過ぎて、いつの間にか引越しの日が来てしまった。引越し当日まで荷造りが終わらないような計画性のなさも手伝い、京都からの離別を噛み締める暇もないままだったけれど、でもこれでいいと思えてしまっている。

京都でよく通っていたいろんな店にも最後に行けたし、顔馴染みだったところには挨拶したりもした。会社の仲の良い人たちや、大学の同期や後輩とも飲みに行ったし、もう思い残すことがあまりないからかもしれない。それに、また帰ってきたらいいのだし。

10年もいた京都から離れるというのに、私は思ったよりも寂しくなくて、自分でも何だか不思議だ。私は思っていたよりもちゃんと前を向いて次の道を進もうとしているのだろうか。

京都の街にも、ここでの暮らしも、3年で辞めてしまった仕事も、モラトリアムの怠惰さも、抱えてきたであろう色々な未練を鴨川に流して私は何もなかったかのように旅立つ。

不安がないと言ったら嘘になる。全く寂しくないと言ったらそれもまた嘘で、ちょびっとはあって、でも次を歩む覚悟みたいなものの方が大きいんだと思う。

 

では、行ってきます。さようなら、京都。好きだったよ。