思い出の向こう側

好きなものや思い出について書いたりしています

修行

夢。

 

なんか前に書きましたね。「私には夢がない」って。

書いたのは2020年9月。就活がうまくいっていなくて、未来に希望もなかった頃の話。どんな未来が待っているのかを全く想像できなかった頃だった。思い描くどの未来も私には用意されていないような感覚があった。

 

そして今。無事就職して、働き始めて1ヶ月。ちょっとずつ仕事にも慣れてきて、未来を見る余裕が出てきた。あの頃真っ暗闇だと思っていた未来は、少し明るいものに思えてきている。未来は明るいなんて疑いもなく言えるほどではまだないけれど、光が差していることくらいは信じていてもいいかなって思えている。

 

 

あの頃、

「いつか叶ったらいいなというくらいの夢はある。でもそれは叶わなくても構わないんだ。実現させたいと強く願うでもないし、行動に移すわけでもない。今の方向性とも合致していない。ただ淡く胸に抱えておく夢。それが私の夢のあり方。」

と書いていた夢があった。

「具体的には書かないけど」なんて言っていたね。未来に対して臆病で自分に自信もなかったし、叶えるつもりもなかったから、そのままひっそり胸の中にしまっておくつもりだった。

 

だけど今、少し勇気を出して、口に出してもいいかなって思えている。いくつか淡く抱えている夢の、その全てを口に出せるほどの勇気はないけれど。一つくらいは言ってもいいかな、なんてね。そう思えていること自体がとても嬉しい。

 

 

私の夢のうちの一つ。

それは「うどん屋を開くこと」です。いや、開業したいというよりは「旨いうどんを打てるようになりたい」の方が近いか。

今じゃないよ。いつか、いつかね。

 

こんな話をすると笑われることの方が多い。だけど割と本気です。店を開くのは夢物語にしても、旨いうどんを打つことに関しては本気でやりたいなと思っている。

目標は高く、ゴッドハンドややまうちのようなうどんを目指します。だってあれだけ旨いうどんを、自分が大好きなうどんを自分で打てるようになったら最高じゃないですか。最強じゃないですか。最強を目指しますよ。

 

で、最高のうどんのために何が必要かを考えました。

旨い讃岐うどんに欠かせない要素としては、

①麺

②出汁

③天ぷら

の3つだと思う。その中で、②の出汁は(最高を目指すなら試行錯誤しなければいけないとはいえ)そんなに大変ではないように思うので、ひとまず置いておく。というか他が揃ってからそれに合うような出汁を見つける方が良さそうだし。

なのでまず①の麺と③の天ぷらを極めていく必要があります。特に麺。当然っちゃ当然ですね。

 

 

というわけでGW。うどん打ちに挑戦しました。初挑戦です。

 

以下メモです。

5/4

塩24g、水196ml、小麦粉は業務スーパーで買った中力粉500g

室温23℃、(外気温23℃、湿度38%(Yahoo天気より))

混ぜてこねてまとめて、踏んでまとめてを3回、寝かしは1時間くらい、中もみせず。

この時は失敗。太くて硬いうどんになってしまった。

失敗の原因としては、

・混ぜ方が下手で、最初からまとまってしまってダマっぽくなったところが多かった。

・踏みが足りなかった。甘かったかもしれないし、時間ももっとかけなきゃいけなかったかも。

・もっと寝かせても良かった

・乾燥した日だったからか生地に潤いが足りていなかった。水をもう少し増やした方が良かったかも。あるいは混ぜたりこねたりの手際が悪すぎて乾燥したのかもしれない。

・切りが下手すぎた。太いし不揃いになってしまった。こま板や麺切包丁が必要。あとは伸ばしが甘かった。もっと伸ばしたほうが良かった。参考にしたサイトでは厚さ3mm、太さ3mmにすると書いてあったのだけれど、3mmの肌感覚がなくて特に厚さを測りかねた。

・打ち粉が足りなすぎた。くっついてしまって切れが悪い。もっとふんだんに使うべき。

 

そしてその反省を活かして、5/9に再挑戦。

分量は変化なし。室温は多分25℃くらい(記録し忘れた)、外気温は24℃の湿度50%。湿度が高めだったからか、手際が良くなったからか、潤いのある生地になった。

混ぜは上手くなった。最初のくっつきが減って、そぼろ状に割となった。下から掬って混ぜる感じ。踏みは結構しっかり目に。足で踏んだ後、手でも押してしっかりやった。回数は変わらず。寝かしは2時間〜2時間半くらいに。中もみもした。

打ち粉はたくさん。前回は適当に中力粉をそのまま使ったのだけど、今回は薄力粉にした。切りではこま板を初使用。細く切るのには成功した。ただ切れは悪かったので、麺切り包丁はやはり必要そう。茹で時間は少し長めに、11〜12分に。あと前回は切った後すぐ茹でずに冷蔵庫にしまって、数時間後に茹でたのだけど、今回はすぐに茹でた。

 

というわけでビフォーアフターです。

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見違えるよう。見た目だけでなく、味も美味しくなった。コシも良くなった。

ただ、まだ不揃いだし、感動するコシではない。もっと修行が必要。今度は小麦粉を変えてみようと思う。実験みたいで面白い。あとは今の時代、色々な情報を手に入れることが出来るので情報収集もしよう。勉強もしなきゃね。

 

ちなみに初回では天ぷらにも挑戦していました。見りゃわかるか。美味しくはなったけど感動レベルではないし、まだまだこっちも修行が必要。油の選定や温度調整、衣の調整、具材の温度調整など、こっちも奥が深い。難しいけどその分やりがいがある。面白い。

 

これからも毎週末の勢いで打てたらいいな。いつかのために。そして今の自分のために。

 

 追記:

いつの日からか、私は夢を語らなくなっていた。そしてそのうちに夢を持てなくなっていた。失った、と言ってもいいのかもしれない。

失ったのはいつだったんだろう。いつから口にしなくなったんだろう。いつまでは持っていたんだろう。

昔に何を夢見ていたかを何も思い出せない。

子供の頃の夢ってなんだったんだろう。先生になりたいって思っていた時期はあったような気がする。それはもしかしたら口に出していたのかもしれない。周りの大人の受けがいいからね。打算的な子供だったなぁ。多分小学生くらいからずっとだね。

その後は「誰かのためになりたい」「誰かを救う人でありたい」なんて言っていた。あまり具体的ではなかったね。結局、正直なものじゃなかったから具体的に思い描けなかったんだろうな。

私は周りの大人の評価みたいなものを常に意識してきたのかもしれない。だから心の奥底にある夢を押し殺して、「良い子の夢」を言っておくことを続けてきたのだろう。そしてそれは別に嫌なことでもなかった。考えなくていいから楽だし、大人からは褒められるし、大人から否定されて傷つくこともないし。それに、「良い子の夢」だって私の中に確かにある願いのうちの一つでもあったから、自分を騙していたわけでもなかった。ただ正直じゃなかっただけで。

その姿勢でいるのは楽だから、押し殺していた夢をそのまま忘れてしまうことも容易だった。

そして今、何も思い出せないでいる。打算も何もない、現実を考えたりもしない、ただ衝動的に持っていたであろう子供の夢を。

私は何も持っていなかったのかもしれないとさえ思う。でも多分何かはあった。知りたい。思い出せるかな。思い出したいような、思い出したくないような。

 

だから、今、衝動的な「旨いうどんを打ちたい」という夢を持てていることがとても嬉しいのだ。失っていた感覚を取り戻せたような気がして。誰かに何を言われてもちゃんとこの想いを持っていられるような気がして。